ポイント
- パイコイン(PI)は、2019年に無料のスマホアプリとして始まったブロックチェーン・プロジェクト、Pi Networkのトークンです。
- Open Networkは2025年2月20日に開始。PIはPiが審査した取引所で、2026年10月12日時点で約0.08ドルで取引されています。
- 最大供給量1,000億のうち大半はまだ放出されておらず、トラッカーの推計で流通量は約112億です。
- 実用面は始まったばかりです。アプリや小規模な地域内取引はあるものの、DEX、トークンのローンチパッド、スマートコントラクトは最新の公式発表時点でテストネットでした。
パイコイン(PI)は、Pi Core Teamが作った、レイヤー1ブロックチェーンであるPi Networkのネイティブトークンで、当初は無料のスマートフォンアプリを通じて配布されました。東京や大阪で10人にPiとは何かと尋ねれば、マイニングアプリ、詐欺、コミュニティ、長期の賭けと、10通りの答えが返ってくるでしょう。このページでは、Pi自身の資料に基づき、日付を添えて、プロジェクトが実際に何であり、何ではないのかを整理します。信頼できるかどうかについては、パイコインは詐欺か?に別途詳しくまとめましたので、ここでは仕組みに絞ります。
Pi Networkの成り立ち
Piの公式サイトは、Dr. Chengdiao FanとDr. Nicolas Kokkalisを「Pi Founders」として挙げています。ベータ版アプリは2019年3月14日に公開されました。プロジェクトはこの日をPi Dayと呼び、2026年は7回目でした。その前の2018年後半には、iOS向けのアルファ版がありました。コンセプトは単純でした。ビットコイン型のマイニングのような電気代や専用機器なしに、普通の人が普通のスマホで稼げる暗号資産。初期の参加者はPioneerと呼ばれます。
PiのMiCAホワイトペーパー(2025年10月のバージョン1.1)によると、アプリはデラウェア州の会社SocialChain, Inc.が運営し、ケイマン諸島のPi Community Companyが知的財産を保有し、2024年12月に設立されたケイマン諸島のPi Foundationが、このホワイトペーパーを提出した英領ヴァージン諸島の会社PiBit Ltdを所有しています。文書には、ICO、つまりトークンの公開販売はなかったとも明記されています。Piは「6,000万人超のアクティブなPioneer」を挙げています(2026年7月15日のブログ投稿)。この数字は自己申告で、独立した監査を受けておらず、登録した人の数であって、メインネットでトークンを持つ人の数ではありません。
システムの全体像
混同しやすい3つの層を分けておくと理解しやすくなります。1つ目はマイニングアプリで、Pioneerが24時間ごとにセッションを始めます。2つ目はPi Browserで、Pi対応のアプリを動かす専用ブラウザであり、Pi Walletもここにあります。3つ目はPiメインネット、つまりブロックチェーン本体で、アプリから移行された残高を記録します。
ブロックチェーンのコンセンサスは、Federated Byzantine Agreement型のStellar Consensus Protocol(SCP)を応用したものです。Piのホワイトペーパーは、各メンバーが保証する少人数のグループ、セキュリティサークルから、世界規模の信頼グラフを作ると説明しています。MiCAホワイトペーパーは、もっと率直にPiを、独自のレイヤー1チェーンで動くSCPのフォークと表現しています。この設計がどこまで拡張できるかについて、ホワイトペーパー自身の言葉では「未解決の研究領域」です。
Pi Walletは自己管理型です。Pi FAQによると、秘密鍵はスマホ上で生成されるパスフレーズで、これを失うとそのウォレットのPiも失う可能性があります。Piの誰かが復元してくれることはなく、それを聞いてくる人は、定義上、詐欺師です。
ここでいう「マイニング」とは
Piのスマホでのマイニングは、暗号パズルを解くものではありません。稲妻ボタンをタップして24時間のセッションを開き、式で決まる速度で報酬が付与されます。アプリを開いたままにする必要はありません。Piのホワイトペーパーは、電力を食うプルーフ・オブ・ワークを避けていると述べ、MiCAホワイトペーパーは、トークンは「アプリ内のマイニングを通じて」配布され、ノードの運用とロックアップも報酬の対象になると記しています。実態に近い言葉は「受け取り(クレーム)」です。基本速度は1時間3.1415926 Piから始まり、会員数が1,000、1万、10万、100万、1,000万を超えるたびに半減し、2022年3月1日からは毎月、式で低下しています。
最大5人の信頼できるメンバーからなるセキュリティサークルは、1人あたり基本速度に20%を加え、紹介チームは、同時にマイニングしている紹介1人につき25%を加えます。詳細と、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)というコンピューターがこれと無関係である理由は、マイニングのページにあります。
閉じたネットワークから、開かれたメインネットへ
何年もの間、Piは稼げても動かせませんでした。プロジェクトの「Enclosed Mainnet」は2021年12月28日に、ファイアウォールの内側で、取引所との接続なしで始まりました。2024年から2025年初めにかけて、Piは本人確認と移行を進め、KYCの猶予期間は2024年7月1日に始まり、期限は2025年3月14日まで何度か延長されました。メインネットに残高を動かせるのは、本人確認済みのPioneerだけで、PioneerにとってKYCガイドが重要なのはそのためです。
ファイアウォールは、2025年2月20日のOpen Network開始で外れました。Piの発表は、KYB(事業者確認)に通った取引所とオンランプが接続でき、リストにない事業者には十分注意するよう警告しました。同じ週に、PIはOKX、Bitget、MEXC、GateでUSDTに対して取引が始まり、2025年2月26日にCoinMarketCap上で2.98ドルのピークをつけました。Krakenは2026年3月13日にPIを追加しています。最新の上場一覧と、ローンチ前に一部のプラットフォームが販売した本物のPIと「IOU」商品との違いは、取引所のページにあります。
- 2019年3月14日 — Pi Dayにベータ版アプリとホワイトペーパーを公開。
- 2021年12月28日 — Enclosed Mainnet開始。外部との接続なし。
- 2024年7月1日 — KYCと移行の猶予期間が始まる。
- 2025年2月20日 — Open Network開始。最初の取引所上場が続く。
- 2026年3月13日 — メインネットがプロトコル20へ。Krakenとの連携を発表(Pi Day 2026)。
- 2026年10月12日 — PIは約0.08ドル前後。Protocol 28は10月16日にメインネット稼働予定(ニュースサイトの報道で、確認できたPiの投稿はありません)。
供給量と配分
Piのホワイトペーパーのページは、最大供給量を「完全にマイニングされた場合」に1,000億PIとし、配分は、マイニング報酬(過去・将来分)に65%、将来の非営利Pi Foundationによるエコシステム・コミュニティに10%、流動性プールに5%、コアチームに20%としています。コアチーム分はコミュニティのマイニングと同じペースで解除され、さらに自主的なロックアップが課される可能性があります。メインネット以前の供給量には上限がありませんでした。MiCAホワイトペーパーは、Foundationのトレジャリー向けに最大100億PI、流動性プール向けに50億PIを「ジェネシスイベントから作成」し、中核の貢献者はベスティングスケジュール付きでトークンを保有するとしていますが、スケジュールは公表していません。
現在の流通量は、誰に尋ねるかで変わります。2026年10月12日時点で、CoinMarketCapとCoinGeckoはともに約112.4億PIが流通していると表示し、「総供給量」はトラッカーで違います(CoinGeckoは約173億、CoinMarketCapは1,000億)。これらはロック解除済み・移行済みコインの推計で、監査済みの数字ではありません。差の理由は供給量のページで、ロックされたPiの放出の仕組みはアンロックスケジュールで説明しています。
- 1,000億最大供給量(Piホワイトペーパー)
- 約112億流通量(CMC/CoinGecko、2026年10月12日)
- 約0.08ドル価格(2026年10月12日)。最高値は2025年2月26日の2.98ドル
- 約9.21億ドル時価総額(CoinMarketCap、2026年10月12日)
今のPiで、何ができるのか
正直な答えは、「宣伝よりは少ないが、ゼロではない」です。エコシステムの中では、Pi BrowserにPIを受け付けるアプリがあり、Map of Piには地域の売り手が載り(Piは2025年3月に稼働中の売り手が49,000と報告、自己申告)、開発者はPi App Studioで作れます。実際の決済ができるメインネットのアプリは、2026年3月に招待された少数の開発者から始まりました。同時に、PiのPi Day 2026の投稿でも、ローンチパッドとDEXはテストネット機能とされており、広範な加盟店での利用を示す独立した証拠は乏しいままです。うまくいっていることと神話の区別、たとえば大企業がPiを受け入れているという話は、使い道のページで扱っています。
PIを持つには2つの道があります。アプリで稼いで認証するか、取引所で買うかです(パイコインの買い方)。両者の間でコインを動かすには、本人確認と移行が必要で、手順は移行・送金ガイドにあります。ただし日本居住者にとっては、国内の暗号資産交換業者(金融庁登録)がPIを扱っていない点も知っておく必要があります。
知っておくべきリスク
Piは、匿名のボランティアが動かす典型的なオープンソース・プロジェクトではなく、中心的なチームのある企業主導のネットワークで、Justin Bonsらの批判者は、コアチームがバリデーターと供給の大半を握っていると主張しています。Piは、Pioneerが運営するノードが42万超あると反論していますが、その数字は自己申告で、大半はテストネットに関わるものです。二次的なレビューによれば、コードは完全なオープンソースではなく、独立した監査も公表されていません。ベトナムのハノイ市警察や中国の業界団体は、Piの利用や取引について一般に警告しました(詳しくは規制の概要とニュース年表)。
そこに、薄い流動性(2026年10月12日に24時間の取引は約280万ドル、時価総額は約9.21億ドル)と、続くトークンのアンロックが加わり、値動きの激しい資産になっています。このページの内容は投資助言ではありません。判断する際は、価格のページと価格予想のページで、数字とその前提を確認してください。
事実を自分で確かめるには
習慣を3つ持つだけで、ほとんどのトラブルは避けられます。第1に、minepi.comを唯一の公式ドメインとして扱い、スクリーンショットではなくPiのブログを直接読むこと。第2に、PIを送る前に、その取引所をPiの公開KYBリストと照らし合わせること。第3に、パスフレーズは誰にも教えないこと。FAQがウォレットの唯一の鍵と説明している通りです。PiのKYCはアプリ内で行われる、という点も覚えておいてください。お金と引き換えに本人確認を「ファストトラック」すると申し出る人からは、離れましょう。
よくある質問
パイコイン(Pi Coin)とは何ですか?
パイコイン(PI)は、2019年にスマホアプリとして始まったレイヤー1ブロックチェーン、Pi Networkのネイティブトークンです。Pioneerは、アプリ内の1日ごとのマイニングセッションでPIを受け取ります。2025年2月20日にOpen Networkが開いてからは、Piが審査した取引所でも取引されています。
Pi Networkを作ったのは誰ですか?
Pi公式サイトの2026年5月5日付の創設者の投稿は、Dr. Chengdiao FanとDr. Nicolas Kokkalisを「Pi Founders」として挙げており、開発はPi Core Teamが担っています。アプリは2019年3月14日(Pi Day)にベータ版が公開されました。運営会社のSocialChain, Inc.はデラウェア州の法人だと、PiのMiCAホワイトペーパーに記載されています。
パイコインはどういう仕組みで動いていますか?
Piアプリで24時間に1回ボタンをタップし、マイニングセッションを始めます。セキュリティサークルの信頼できる知人が増えると、速度が上がります。本人確認(KYC)の後、移行可能残高をPiメインネットへ移行すると、パスフレーズで自分が管理するPi Walletに入ります。
パイコインは本物のお金で、価値はありますか?
PIは複数の取引所で売買され、市場価格があります。2026年10月12日のCoinMarketCapとCoinGeckoでは約0.08ドルで、2025年2月の最高値2.98ドルより約97%低い水準です。長期的な価値は実需が生まれるかどうかで決まり、それはまだ証明されていません。
パイコインの発行枚数はどれくらいですか?
PiのホワイトペーパーとMiCAの提出書類は、「完全にマイニングされた場合」の最大供給量を1,000億PIとしています。トラッカーによる2026年10月の流通量は約112億PIで、推計値であり監査済みの数字ではありません。
情報源とファクトチェック
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